ガーデン ご紹介

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アイフォード・マナー   Iford Manor
               2012年6月5日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

アイフォード・マナー(Google Mapでは”イフォード”と表記している)も初めての訪問だ。
建築家でランドスケープデザイナーであるハロルド・エインズワース・ピート(Harold Ainsworth Peto)が1899年、この土地の傾斜が 憧れのイタリアン・ガーデンに最適とのインスピレーションを受け購入したのだという。ピートはここに移り住み1933年になくなるまでここを動かなかったのだ。
ピートは建築家としてエドウィン・ラチェンスと同じオフィスで訓練を受けたが、ガーデンデザインに興味を持ち、その仕事を多く行うようになる。 特にイタリアン・ガーデンの魅力の虜となり、頻繁にイタリアを訪ねイタリア、フランス、スペイン製の様々なアイテムをコレクションしていたのだ。 このガーデンが"The Peto Garden at Iford Manor"と称される所以だ。
A36からローカルロードを東に1km余り、フローム川(River Frome)に架かる橋を超えると目の前に深い森を背景にアイフォード・マナーが建っている。 この石橋は1400年頃のものでピートがここに来た時には欄干の上の像は失われていたので、ピートが18世紀のブリタニア像を寄付したのだ(写真下左)。

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Iford Manor

一般公開されていないマナーハウスの脇に回り込むとロッジア(Loggia)だ(写真右)。ここがレセプションだ。 無愛想な女性が一人「この雨の中、物好きね」とでも言いたそうな顔をして迎える。入場料£10を支払うとレシートの代わりに 赤い紙が渡された。「一切責任を負いかねます」との注意書きだが、 それほど急な斜面に造られたテラス・ガーデンだということだ。雨に濡れた足元に注意して散策を開始する。
ロッジアから見て左手がテラスを上がる急な階段だ。柱の上に載ったブロンズ壷(Urns)やの鹿の像が荘重な雰囲気を醸す(写真上左から2枚目)。 鹿の像の下は水が流れ込む池がある。
階段は後回しにして小道を進むと右手下にブロンズの男性像が載ったゲートが見える(写真上右から2枚目)。 案内図も何もなかったので見落としたが、ウォールド・ガーデンだったようだ。(公開されているかどうかは不明)
そして森の中に見えてきたのが回廊(cloister)と呼ばれる建物だ(写真上右)。入り口の両脇のコラム(円柱 下にライオン像が控える)、ランセット窓、 壁のニッチの像、壁のレリーフなどイタリアでコレクションした品々だろう。

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中は井筒(Well Head)と思われる石のモニュメントのある中庭を囲む回廊がある(写真右)。夏にはここでオペラやコンサートが開かれるのだという。 この時も照明の取り付け工事をしていた。近々イベントがあるのだろう。そんな時に遭遇したいものだ。(床にコードが見える)
芝生の中を歩いていくとサマーハウス(Summerhouse)ともガゼボ(Gazebo)とも呼ばれる建物が建っている(写真上左)。 その先には睡蓮の咲く池(The Lily Pool)がある。池の縁には開花し始めた藤の中に重厚な像が、そして後方には柱廊(Colonnade)が見られる(写真上左から2枚目)。
メインのテラスに上がる。グレート・テラス(great Terrace)だ。その北西の端はカシータ(Casita スペイン語で”温かくて小さな家” 写真上右) と呼ばれる建物の前にトピアリーや像を配したフォーマルガーデンだ(写真上右から2枚目)。カシータのピンクの円柱はベローナ(Verona)の13世紀の大理石だ。 立派なテラコッタもアクセントだ。

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ピートは"a gardens beauty lay in the combination of architecture and plants"と言っている。さすがに建築家だ。ロッジア、回廊、サマーハウス、 柱廊、カシータなど幾つもの建築物を緑の中に配し、様々な植物で囲んでいる。その植栽は同時代のガートルード ・ジキルの手法を参考にしたようだ。 そして、それはガートルード ・ジキル自身からも非常に賞賛されたのだという。ジキールとラチェンスの名はどこにも現れる。
グレート・テラスの複雑な刈り込みのトピアリーも驚嘆ものだ(写真上左)。ロマネスク様式のコラムや柱廊にもバラが絡んでいる(写真下左2枚)。 また、通路には2、3世紀のギリシャの石棺も置かれており、少しおどろおどろしい気がしないでもないが、厳粛さも感じる。(写真右)。
グレート・テラスから階段を上った先の斜面にもコラムが立っている。当時の国王エドワード7世(King Edward VII)の像だ(写真下中)。

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階段をハウスの裏まで下りるとパティオ(Patio Garden)がある(写真上左から2枚目)。良く管理されたパティオだ。
最初に後回しにした階段の上が温室テラス(Conservatory Terrace 写真上右から2枚目)。このテラスも豊富な植栽と芝の緑に溢れ、 様々なファーニチャーやスクラプチャが配されている。
狼が双子の赤ちゃんに授乳している像がある。オリジナルはローマの"Capitol Museum"あり、古代ローマの伝説を表した"The Capitoline Wolf"だ(写真右)。
ピートは植物とコンビネーションしたのは建築物だけでなく像、石棺、壷、テラコッタ、プール、通路、階段なども組み合わせ、調和させている。 3日に訪れたヒーバー城のイタリアンガーデンの像なども素晴らしかったが、ここは建築物のバラエティーがある点で一歩勝っているかもしれない。 しかし、ヒーバー城の開放的な明るい雰囲気とピート・ガーデンのしっとりした落ち着いた雰囲気は甲乙つけ難い。 お天気の良い時にもう一度ゆっくり回りたいガーデンだ。

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Information
 Address  Bradford-on-Avon, Wiltshire BA15 2BA
 Telephone  01225 863146
 Web Site  Iford Manor

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

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